■高い目標を持つこともいいけれど
「豊かになりたい」とは多くの人が願っていると思う。私も例外ではない。
ただ「豊か」の意味をもう少し考えてみたい。
先日、ある雑誌で作家の石田衣良氏が「これ以上しゃかりきになって上を目
指す必要はない。手に入れた豊かさを、そろそろのんびり味わってみませんか?」
と語っていた。「そのとおり」と思わず声に出して応えていた。
テレビや新聞、雑誌、インターネット、電車の吊り広告からは「もっと美し
く」「もっと若々しく」「もっとスタイル良く」「もっとセンスいい服を」
「もっと高い仕事能力を」「もっといい住まいを」「もっと質のいい暮らしを」
「もっと楽しい休暇を」「もっと上手な運用を」「もっと安心できる資産づく
りを」というメッセージ(あるいは脅迫)がひっきりなしに送られてくる。
私たちはいつも「アレが足りない」「コレが足りない」「もっと○○しなく
ては」「もっと稼がなくては」「もっと貯めなくては」という強迫観念に追われて疲れ、「このままだと自分の価値は低いまま、人生は楽しめないし安心もできない」と感じてしまう。でも、本当にそうだろうか。
私はゴールオリエンテッド(目標指向)型の人間なので、何かひとつのことを達成すると、次の瞬間、次のゴールが自動的に設定される。いつもいつも前
にある目標に向かって努力をし続ける習性がある。それはそんなに悪いことで
はないだろう。でも気をつけないと、すでに達成したことや、今現在持っているさまざまなことを、喜び楽しむことを忘れてしまう。
■すでに持っているものを見直してみる
例外は雨の日、自宅でゆっくりできるとき。外はざんざん雨なのに、濡れな
いでぬくぬくと本を読んだり、音楽を聴いたり、ぼんやりできるなんて、なんて幸せなんだろう・・としみじみ思う。
だれでも、いろいろな悩みや不安をかかえている。でも少し視点を変えてみたら、数年前にはできなかったことができるようになっていたり、欲しかったものを手に入れていたり、新しい出会いが恋愛や友情につながっていたり、さまざななプラスの出来事も体験しているのではないだろうか。
私たちはすでに手に入れたもの、今持っているものについて、人や神に感謝することを忘れがちだ。毎日、起きた時と寝る前、必ず枕にむかって感謝の言葉を言う友人がいる。特定の宗教を信じているわけではないが、自分の力のお
よばないところで、自分に与えられた家族やさまざまな出会い、出来事などを
感謝するという。その人は、いつもにこにこしている。
■求めるを休んで、与えてみる
上昇志向や目標志向は、私たちの知的水準、仕事、収入や生活の質を向上さ
せてくれる。でもいつも上ばかり見ていては、永遠に満足できないし、今の豊かさを楽しむことは難しい。ときどき、上や前を見るスイッチをオフにして、
自分をとりまいている豊かさに焦点を合わせてみよう。
もうひとつ、豊かさを実感する方法がある。「与える」ことだ。世の中にはあなたが当たり前に持っていることを、持っていない人たちがいる。その人たちのために、あなたのエネルギー、時間、愛情、体力、お金などを用い与えよ
う。ボランティアでもいい、寄付でもいい。病気の友人を見舞ったり、悩みを
聞いてあげるのもいい。3歳の子どもも、お年寄りに微笑みかけて幸福を分け与えることができる。与えるって、そんなに難しくない。
聖書には「受けるより与えるほうが幸いだ」という言葉があるが、今の日本の人たちには「際限なく求めるより、与えるほうが楽しいよ」と伝えたい。
与えることで、自分がどんなに豊かに持っているか、恵まれているかを認識できる。収入や貯蓄が増えたら、退職して自由な時間ができたらそのときに、と考える人もいるだろう。すでに今たっぷり持っていることに気づけないなら、
将来も実行することは難しい。
与えることで自己イメージが高くなり、自信を持てるようになれば、まわりからの情報に振り回されにくくなるだろう。自信を持つようになると、不思議と将来のお金の不安も薄らいでくるものだ。不安から解放されると冷静な判断ができるようになり、将来設計にプラスになる。
将来のため、自分と家族のため、マネープランと資産運用はとても大切だ。ただ、それだけでは不足。あなたのライフスタイルに「与える」を加えてみてください。すると生活が、新しく明るく彩られてくるはずだ。
(マネックスメール 10年後に笑う!マネープラン入門より)
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