「運用以前のお金の常識」という本がある。すばらしいタイトル。そのとお
りで、投資・運用に手をつける前にやっておくべきことは少なくない。
投資・運用は幅広くて奥が深くて面白いので、始めると夢中になりやすい。
で、それ以外のお金のことがなおざりになってしまうことがある。マネー関係
の仕事をしていても、株式投資やFXに夢中で好成績を上げているものの、お金全体の管理はまるでなってないという人もいる。
ちょっとこじつけがましいが、神はアダムとエバを創った時、2人にエデン
の園の管理をまかせた。「管理」は人が最初に任せられた仕事のひとつであり、
きっと永遠の課題だ。農家の人なら農作物の管理、商売をやっている人なら在
庫の管理とやるべきことはいろいろあるが、誰でもやらなければならないのが、
自分のお金の管理だ。
■ 収支(フロー)の管理が大切
会社はお金を管理するのに、出入りを「損益計算書」でチェックし、資産内
容を「貸借対照表」でウォッチする。両方とも必須。
個人も同じ。資産の管理やこれを積極的に殖やすのは大切だが、フローをコントロールできてないと、投資がうまくいっても必要なときにお金を準備できなかったり、生活が豊かにならないこともある。フローをきちんとした上で、
投資に手をつけるのが順序だ。
フロー管理の第一歩は、収入をきちんと把握すること。会社員なら難しくない。給与明細で額面の金額と手取額(可処分所得)を確認する。この可処分所得をどう配分するかの決め方が大切だ。自営業などで収入が一定しない人は、
前年の収入から今年の収入を予想し、それを年、および月で配分しよう。
ポイント1は、必ず一定割合を「将来のための貯蓄」にまわすこと。「収入が増えたら貯めよう」と考えていてはいつまでたっても始まらない。「投資で
殖やすから月々の貯蓄なんてしなくていい」というのは不健全で身を滅ぼす。
貯蓄の目安は10〜20%。ある雑誌の仕事で試算したとき、在職中に平均して15
%を貯めれば、住宅取得、子どもの教育資金、退職後資金などの目標をクリア
できるという結果になった。
貯蓄はなるべくオートマチックに、手間をかけずにするのがいい。給与天引きの「財形貯蓄」「従業員持株会」などがあれば積極的に活用したい。給与振
込口座からの自動積立も便利。積立定期預金や投資信託の自動積立プログラム
が使える。銀行でなく証券会社で積み立てる場合は、毎月決めた日に決めた額を証券口座に入金するといいだろう。
■ 将来のための貯蓄と1〜2年で使うお金を区別する
ポイント2は、貯蓄とは区別して「1〜2年のうちに使うお金」を取り分けることだ。1〜2年のうちに使うお金とは、年数回の旅行費用、年払いの保険料、年に1〜数回の税金の支払い、冠婚葬祭費、2年に1回の車検費用、数年
に1度の携帯電話やパソコン、オーディオや家電製品の買い換え費用などだ。
多くの人が「取り分け」を貯蓄と混同しており、その結果「ちゃんと貯めて
いるのに貯蓄が増えない??」ということになっている。貯めたつもりでもそ
こから引き出して使っているからだ。そうならないため「取り分け」分は給与
やボーナスから専用の口座に入金しよう。銀行の「貯蓄預金」や証券会社の
「MMF」が使いやすい。
取り分けの適正金額はライフスタイルによって違うので一律にはいえないが、ざっと手取年収の10〜20%。前年の支出を洗い出して予算を立てると現実的だ。
たとえば、手取年収500万円(給料30万円、ボーナス各70万円)の人なら、将来のために月4.5万円、ボーナスから10.5万円ずつの年75万円(15%)各種の自動積立で積み立て、取り分けとしてボーナスから30万円ずつ(12%)をM
MFに入金するという具合だ。
給料やボーナスを受け取ったらすぐに貯蓄分と取り分け分を別口座に移し、残りで生活する。この方法を「先取り貯蓄」というが、このシステムを上手に
作って実行すればフロー管理はおおかた合格だ。
しかしフロー管理には敵がいる。不測の出費とクレジットカードだ。
これへの対処法は次回お話しよう。
(マネックスメール 10年後に笑う!マネープラン入門より)
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